単語と文法はやった、速読や英文解釈も順調に進んでいる。ただ長文読解になると、勉強していて力が付いているのか分からない…
今回はこんな悩みを解決します。
この記事の内容
- 長文読解の読み方
- 論理的に読む必要性
- 筆者の主張の捉え方
- 文を繋ぐ4つの論理
長文読解は入試問題ではほとんどを占めており、今まで順調に勉強をしてきた人にとっては最後の砦です。
長文はただ多読をしたり演習を繰り返しても、なかなかできるようにはなりません。
今回は英文解釈ができていることを前提に、長文読解の勉強法を具体的にお話しします。
この記事を読んでいただければ、テクニックや多読に頼りきらない本質的な読解法がわかりますよ。
目次
英語長文読解の読み方とは
初めに、私の考える長文読解の勉強法ついてまとめておきます。
長文読解とは
「ディスコースマーカーなどのサイン」を下に、
「文と文をつなぐルール・論理」を考え、
筆者の主張を掴みながら英文を読むこと。
です。この段階では、分かるような分からないようなだと思います。
一歩ずつ説明していきます。
文(一文)を読むとは
長文は一文の集まりなので、まずはその一文が読めなくてはいけません。
一文読解とは英文解釈のことですから、すでに皆さんは勉強しているはずですね。
一文は、単語と単語をつなぐ文法のルールに従い、単語が並んでいます。
そのため一文読解では、単語と文法の知識があるのが前提となります。
文章(1パラグラフ)を読むとは
では、文章になるとどうでしょう。
実は視点が1つ上がるだけで、一文読解の考え方と全く同じです。
パラグラフは、文と文をつなぐ論理のルールに従い、文が並んでいます。
そのため文章読解では、一文読解と論理の知識があるのが前提となります。
参考 長文の読み方(=論理)を知らないとは、一文読解に置き換えると、文法を知らずに単語力だけで読もうとするのと同じです。
長文(複数パラグラフ)を読むとは
上の1パラグラフが複数集まり、よく目にする長文は形成されています。
これも、論理の形式は全く同じです。
上で説明した文・文章についても一緒に並べてみます。
・一文:単語をつなぐ文法のルールに従い、単語が並んでいる。
・文章:一文をつなぐ論理のルールに従い、一文が並んでいる。
・長文:文章をつなぐ論理のルールに従い、文章が並んでいる。
長文読解の学習とは、まだ習っていない論理のルールを学び、論理的な文章の読み方を練習することです。
今まで順調に進んできたのに長文の学習で詰まる人は、この勉強を疎かにしていることが多いです。
やり方を知らないのにたくさん練習をしても、効果は薄くなりますよね。
英語を論理的に読む必要性
なぜ論理のような現代文的なことを、英語で学ぶ必要があるのでしょうか。
これは一言で言ってしまえば「筆者の言いたいことを掴むため」です。
長文は筆者からのメッセージ
文章がなぜ存在するのか。それは書き手がどうしても伝えたいメッセージがあるからです。
ただ、メッセージを単語や文や感情で闇雲に並べても、なかなか読者には伝わりません。
「◯◯に反対だ!とにかく反対だ!!」とか言っても、変な人にしかなりませんね笑
そのため、読者に伝わるように文章を作る必要があります。
「なぜそう思うのか」
「それはどういうことなのか」
「具体的なエピソードはないか」
など、自分の主張の説得力を高めるため、様々な構成や手法があります。
これが徐々にまとまっていき、パラグラフ・長文となっているのです。
筆者のメッセージを受け取る
文章を目の前にしたとき、読者のやることは1つです。
筆者が伝えたい「想い」・伝えるべく工夫した文章の「論理・構成」を理解し、その通りに受け取ってあげることです。
せっかく筆者がメッセージを伝えようと様々な工夫をしても、読者が自分勝手に読んでいては、その意図は全く伝わってきません。
この「筆者が伝えたいことは何なのか」を受け取る姿勢が、長文攻略の最も重要な心構えです。
筆者の主張の捉え方
筆者の主張・意見は、長文の中でどのように書かれているのでしょうか。
これについても明確なルール・手法が存在します。
1パラグラフに主張は1つ
このルールは絶対です。
英語は日本語に比べ、実は非常に論理的な言語です。
アメリカでは小学生の授業から、英作文・ディベートなどの練習をする機会が多く、主張の仕方というのを学んでいます。
参考
日本ではあまり論理について学ぶことはないですよね。やるべきだと思うのですが。
英語の長文も同じです。
1パラグラフで1つの主張をし、その説明を終えたらパラグラフが終わるように作られています。
1長文にも主張は1つ
1長文に対しても、主張は1つです。
「パラグラフに1つ主張があるなら、その数だけ主張があるのでは」と感じると思います。
ただパラグラフで主張だったものが、長文全体では1つのデータになるのはよくあります。
参考
例えば1パラグラフで「iphoneは優れたスマートフォンだ」という主張があったとしても、長文全体では「スマートフォンの中毒性」の話だったりします。この場合「iphoneが優れている理由」は、長文全体の説明にすぎませんよね。
このようにパラグラフ間の主張の強さなどから、長文全体の主張を捉えることも重要です。
主張文と説明文
パラグラフに主張文(「トピック・センテンス」と呼ばれます)が1つということは、それ以外はそれを支える説明文(「サポート・センテンス」と呼ばれます)になります。
これらを区別し、筆者の主張を掴んでいくのが長文の読み方になります。
この説明の仕方というが論理に当たるので、ここを詳しく見ていきます。
文をつなぐ4つの論理
一文読解の文法に当たる、文と文をつなぐ論理のルールとはどういうものでしょうか。
論理と言うと堅苦しいですが、主だったものを上げると以下の4つです。
- 相同関係(A=B)
- 対比関係(A↔︎B)
- 因果関係(A→B)
- 並列関係(A+B)
この関係はディスコースマーカー(以下DMと表記)という、論理展開を示す標識とも深く結びつきがあるので、合わせて紹介します。
相同関係(A=B)
論理の基本は「抽象(A)→具体(B)」です。
筆者は自分の主張の正しさを証明するために、手を変え言葉を変え、説明を繰り返します。
両者には「A=B」の関係が成り立っており、最悪Aの内容が分からなくても、Bから判断ができることがあります(逆もまたしかりです)。
DMとしては「例示、言い換え」、文脈としてはエピソード・引用などがあります。
例示のDM
・for example / for instance(例えば)
・such as~ / like~(〜ような)
・in particular / especially(特に)
言い換えのDM
・in other words(言い換えれば)
・in short / in brief / in a word(要するに)
・that is (to say) / namely(すなわち)
対比表現(A↔︎B)
現代文でも頻出かつ最重要です。
「 A vs B」という対立概念があり、文脈のプラスマイナス関係も逆転します。
比較することで筆者の主張を際立たせるので、Bの方に主張・重要な概念がくることが多いです。
逆接のDM
・but(しかし)
・however / yet(しかし)
・instead(それどころか)
譲歩のDM
・though / although / even though(~だが)
・generally~, but / commonly~, but(一般には~、しかし…)
・certainly~, but / indeed~, but / of course~, but(たしかに~だ、しかし…)
対比のDM
・on the other hand(他方)
・on the contrary(その反対に)
・one~, the other~(一方は / 他方は)
・not A but B(A ではなく B)
逆接や譲歩に比べると、否定はそこまで強くないです。文脈によっては後述の「並列」に近いこともあります。
参考 DMのあるなしに関わらず、筆者の主張と「同じことを言っているのか・反対のことを言っているのか」を判断していくのは非常に重要です。
因果関係(A→B)
因果関係では、文脈のプラスマイナス関係は変わりません。
しかしどちらが原因・結果なのか判断するのは、論理的な読解・設問の対処のためには非常に重要です。
接続詞だけではなく、熟語や句動詞でも表されることが多いので、押さえておきましょう。
原因のDM
・because / as / since(~なので)
・now (that)(今や~なので)
・because of / due to / on account of / owing to(~なので)
結果のDM
・so / therefore / hence(従って)
・so(such) ~ that …(非常に~なので…)
・as a result / in consequence(結果)
動詞での表現
※全てAが原因で、Bが結果となります。
・A cause B(A が B を引き起こす)
・A result in B(A の結果 B になる)
・A lead to B(A が B に繋がる)
・A contribute to B(A は B の原因である)
・B be attributed to A(B は A が原因である)
並列関係(A+B)
文脈に新しい情報を追加します。
具体例①・具体例②のように、例示や理由を追加することが多く、主張の信憑性を高めるために使います。
因果関係と同様、文脈のA・Bのプラスマイナス関係は変わりません。
追加のDM
・also / too(~もまた)
・moreover / furthermore / additionally(加えて)
・like~ / similarly / equally / likewise(同様に)
列挙のDM
・first / firstly / first of all(第1に)
・second / secondly / in the second place(第2に)
・one~, another …(あるものは〜もう一つは…)
DMにおける注意点
ここまで4つの論理展開とディスコースマーカーについて紹介してきました。
少し注意点なのですが、ただDMや指示語にチェックを入れれば長文が読めるなんてことはありません。
むしろDMは文章を読むためのヒントです。もちろん会ったら活用すべきですが、なんなら明確なDMがない文章も普通にあります。
DMに頼らなくても論理展開を考えることで、筆者の主張を炙り出せるように訓練しましょう。
まとめ
もう一度、一番最初に書いた長文読解の勉強法を書きます。
「ディスコースマーカーなどのサイン」を下に、
「文と文をつなぐルール・論理」を考え、
筆者の主張を炙り出しながら英文を読むこと。
読み方の方針が見えてきたでしょうか。
長文読解においても、正しい学習法と必要な知識は存在します。
これらが足りないと感じる人は、しっかりとインプットしましょう。
ここまで来れれば、英語学習のゴールはだいぶ近づいてきますよ。